未払賃金立替払制度 |
司法書士の下室です。 本日は 「未払賃金立替制度」 をご紹介したいと思います。
会社から任意に給与を支払ってもらえない場合、労働者は未払賃金の支払いを求める訴訟を提起しなければなりません。 訴訟になれば、裁判上で和解して任意に払ってもらうか、賃金の支払いを命じる判決を得て、会社の財産に対して強制執行をするかのいずれかになりますが、勝訴判決を得たとしても会社が破産申し立てをしたり、事実上の倒産状態の場合には、事実上強制執行することができなくなってしまいます。 また、賃金の未払があった時点で、会社がすでに事実上の倒産状態にあり、強制執行の見込みがない場合には、訴訟提起することも無駄となってしまいます。
このような場合に、国が会社に代わって「定期賃金」の8割を立替払いしてくれるのが「未払賃金立替払制度」です。
この制度を利用する場合には、次のような要件があります。
「労働者が、倒産について裁判所への申立て等(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した者であること」 わかりにくい場合は こちら に図を使った説明があります。
つまり、会社が倒産状態となって退職した場合には、できるだけ早く(6か月以内)に労働基準監督署への認定申請等を行わなければ、この制度を利用できなくなってしまうのです。 賃金の未払があった場合には、会社の経営状態を見極め、どのような手続きをとるのが最善なのかを検討する必要があります。
当事務所では、このような労働問題も取り扱っておりますので、お困りの場合にはご相談ください。
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2018/06/26
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