自分でできる? 公正証書遺言書 |
司法書士下室克秀
先日、数年前に、ご自身とお母様と遺言書について相談に来られた方が再び来所されました。
遺言書を作成しようとされていたお母様が亡くなられたとのことで、相続の手続きについてのご相談でした。
数年前に来られたときには相談だけで終わっていたので、遺言書がないものとしてお話を聞いていたですが、なんと!(ご自身で)公正証書遺言を作成していたのです。 お母様は、現在の夫(再婚相手)に財産を相続させたくないとのことで遺言書を作成しようとされていたので、ご自身で作成された公正証書遺言も概ねそうような内容になっていました。
しかし、遺産のうち不動産に記載もれがあったのです。 この方のように専門家に依頼せずに、公証人役場で直接遺言書を作成することはできるのですが、基本的には、遺言者が伝えた内容をそのまま遺言書にするので、遺産のもれなどをチェックしてくれるわけではありません。また、通常は「その他一切の財産を〇〇に相続させる」などを入れておくのですが、それも遺言者が伝えなければ入れてくれないのです。
このケースでは、もれのあった不動産については法定相続分によることになります。 つまり、お母様の最期の思いとは異なり、夫が2分の1の権利を有することになりました。
最終的に、不動産の売却時に夫に対し売却代金の一部を支払うことになり、息子さんが相続できた金額も少なくなってしまいました。
私としても、何度かお母様のお話を聞いていたので、この結果が非常に残念でした。
確かに、私ども専門家にご依頼されると費用がかかってしまいますが、場合によっては、それ以上に税金などのコストもかかってしまう場合がありますのでご注意ください。
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2021/07/05
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