他人が勝手に相続登記!? |
司法書士の下室です。
最近、偶然かもしれませんが、よく「勝手に相続登記」されている案件に出会います。
勝手に?とはどういうことやねん!と思いますよね。
基本的には、相続登記は、相続人の方が除籍謄本等を取り寄せて、自分(達)が相続人であって、自分(達)以外にほかに相続人が存在しないことを証明して、自分(達)で相続登記を申請するのですが、ある場合にだけ、他人が、その相続登記を勝手に申請することが認められているのです。
そのある場合とは、「債権者代位」といって、債権者が、自らの債権を保全するために、債務者の権利を代わりに行使する場合なのです。
具体的には、ある相続人に対し金を貸している債権者いたとしましょう。ある相続人が金を返してくれないので、ある相続人名義の不動産を差し押さえよう考えました。しかし、ある相続人名義の財産はなく、亡くなった親名義の不動産しかありませんでした。債権者が差し押さえるには、前提としてある相続人名義への相続登記が必ず必要です。
このような場合に、債権者はある相続人に代わって(代位して)、相続登記を申請することができるのです。
しかし、この相続登記ですが、相続人が全く関与せずされてしまうので、当然、法定相続分名義による登記になります。法定相続人が10人いれば10人の名義になるのです。さらに、この代位による登記では登記識別情報を通知されません。つまり権利証のない不動産となってしまうのです。
本来は長男が相続することで協議が成立していたのに、相続登記をしていなかったため、次男の債権者が代位で法定相続分による相続登記を申請した場合は大変なことになります。次男の持分には当然債権者が差押や仮差押をしていますので、債務の弁済をしないと差押は外れません。また、不動産を売却する場合にも、権利証が無いことになるので、本人確認情報を作成しなければならないため登記費用が非常に高くなってしまいます。
もうすぐ相続登記が義務化されますが、こういう事態を避けるためにも、早めに相続登記をしたほうがいいのかもせいませんね。
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2022/05/17
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