ある日突然給与が差し押さえられたら 〜 差押禁止債権の範囲の変更申立 |
司法書士下室です。
最近、明らかに破産等の債務整理のご依頼が増えています。 一昔前は、返済不能に陥ってしまった理由が、ギャンブルや浪費などが非常に多かったのですが、最近はそのような案件はほとんどありません。 生活苦やステップアップを目指いして、転職をしたり、副業に手を出して失敗するケースが非常に多いような気がします。
さて、このような状態で債務が増えてしまい返済できなくなり、ある日突然、債権者から給与を差し押さえられるケースも少なくありません。 このようなときにお勧めする手続きが、「差押禁止債権の範囲の変更申立」です。
給与というのは生活していくのに必要不可欠なものなので、原則として、給与から所得税、住民税、社会保険料を控除した残額の4分の1しか差押できません(民執152条1項)。 しかし、月収が50万ある人は4分の1差し押さえられても生活できるかもしれませんが、月収18万円の人はとても生活することはできません。 そこで、このような場合に、必要最低限の生活を保障すべく設けられているのが差押禁止債権の範囲の変更なのです。
申立てが認められるかどうか、明確な基準はありませんが、裁判所は,「債務者及び債権者の生活の状況その他の事情」を考慮することとされています。 具体的には、債権者が一般人や一般の法人なのか金融業者なのかでも判断は異なりますし、債務者の世帯全員の家計の収支の状態から4分の1分の給与が無くても生活できるかどうかを判断することになると思います。
なお、この申立ては給与が差し押さえられてから、すぐに申立てなければなりません。差押られた給与4分の1相当額が債権者に支払われるのは4週間経過後です。 この期間内に申立てが認められれば、実質的に給与の差押がされなかったことになります。
現在、2件この案件をかかえています。そこそこ収入のある方なので認められるかどうかわかりませんが、頑張って申立書を作成します。
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2022/09/09
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